今回、植樹申込みをし、中心者となってくれたのが、市の平和委員会で働く若い職員、ジュディッタ・ジェラーティさんです。彼女は平和教育を目的とする交流事業などを市で推進し、今回の植樹も市の公式行事として実施してくれました。また、植樹地に選ばれなかったミラノの他の申込み者を現地事務局に招いてくださいました。
植樹式には、式典のシンボルとして、広場中央に事前に制作した大きな柿の木オブジェが展示されました。地元芸術家協会のメンバーが準備を進めるうちに、こども達が次々と集まってきました。参加者は緑リボンのついた柿色のロープをプレゼントされ、それをおもいおもいに身につけました。これはブラーノでのワークショップに参加したジュディッタさんがこのアイディアに感動し、実現したものです。会場の一角では、地元芸術家協会会員がプロジェクトをテーマに“メモリー“展を開催。さらにロビー会場でも事前のワークショップで制作された、小学生から高校生までの作品が展示されていました。
植樹に先駆けて、こども達は水彩で思い思いの柿の木や平和のイメージを描き、それを葉の形にカット。一方、ロビーでは、先生に教わりながらおりがみで動物や花作り。地元アーティストたちはこれらすべてを、幹と枝だけが描かれた紙の柿の木に貼りつけていくというMURALES(壁画)ワークショップが行われました。参加者が増えるたびに、4本の柿の木は1枚、また1枚と葉をつけ、折り紙の鳥や動物が集い、実をつけて大きく成長していきました。
式典開始時間には多くの市民がかけつけ、市長も出席。植樹は、M.L.キング小学校のこども達が平和の歌を歌う中、行われました。こども達の中、マイクを持って歩き回るアンドレア・チェッキさんは、ブラーノの式典にも参加し、このプロジェクトへ深い共感を寄せるひとりでした。植樹後は、“エスプレスィオーネ コーポレア“という学生グループたちが、パーカッションのリズムにのせてパフォーマンスをスタート。被爆柿の木植樹というテーマのほかに「プロジェクトへの参加」を強く訴える内容で、ラストでは学生がこどもを中央に連れ出し、輪になって踊りだしましたまたアフリカ系のダンサーも登場して激しく踊りながら次々と観客を導き、みんなを巻込んでいきました。最後にホールで上映されたドキュメンタリービデオは、先生方が制作された、パフォーマンスの練習風景、参加者インタビューでした。つぎつぎと参加者を巻込み、今日の植樹を実現していった様子が伝わるすばらしい植樹式となりました。