『柿の木の物語』 出版記念展覧会 関連イベント
第3回ワークショップ かいてみよう「柿の木かみしばい」
ゲスト・アーティスト 木谷安憲
講師の木谷安憲さんは柿の木プロジェクトの実行委員の一人であり、名物紙芝居「かきのきおやこ」の作者である。このワークショップは、まず作者自らが「かきのきおやこ」のか紙芝居を読み聞かせ、そのあと、参加者みんなで1場面ずつ描き、ひとつの紙芝居をつくるというものであった。
参加者は、幼稚園の子ども、小学生、大学生、社会人まで。始まる前、小さな子どもたちはこれから何をするのだろう、と少し不安そうであったが、木谷さんのかみしばいがはじまるとその中にひきよせられていった。「かいてみよう~、かいてみよう~」というの歌の場面では、手拍子と笑い声もひろがり、やわらかな雰囲気になった。その後、描く場面を選んでか紙芝居づくりがはじまった。
まず、かみしばいのコピーが手渡され、その上にトレーシングペーパーを貼って木谷さんの絵の輪郭だけをうつしていく。この方法ならば、絵を描きなれていない人でも参加しやすく、ひとつのかみしばいとしての統一感もでる。うつし終えた人は、そのトレーシングペーパーを白い厚紙の上に貼って、色を塗ったり、さらに絵をつけ足したりして仕上げていく。元気になった柿の木のまわりに、きらきらとした表現を加えたり、海老沼先生の髪の毛の色が苗木と同じ若い緑色だったり、苗木が生まれたその空に大きな虹がかかっていたり、輪郭は木谷さんのかみしばいの絵と同じなのにもかかわらず、その後の作業で、参加者一人一人のオリジナルティーがでてくるから不思議である。
絵が仕上がった後は、順番に前に立ちながら自分が描いた場面のかみしばいを読んでいった。自分が描き、読むその場面はいっそう深い意味を持つようで、一人ひとりがその場面の登場人物になりきっているかのようだった。一人で描いた絵のはずなのに、最後にみんなで読みあうことで、他の人の描いた場面とつながっていく。読み終わった最後には、ワークショップの時間を共有したみんなとの連帯感が自然と生まれていた。柿の木親子のものがたりも、より深く参加者の心に刻まれていったことだろう。